マイコプラズマとは?
マイコプラズマは肺炎マイコプラズマの他、数種類存在し、直径0.3~0.8μmのグラム陰性桿菌(グラム染色という細菌を染色する方法で、赤く細長い菌として見えるということ)で、細菌濾過機を通過し得る最小の細菌であるとともに、最小の細菌(肺炎マイコプラズマは0.1~0.5μm)です。細胞壁を欠き、発育増殖にコレステロールを必須とする特徴があります。マイコプラズマの菌の形は、球形、洋梨型、フィラメント状、らせん状などの多様な形態を示します。肺炎マイコプラズマに感染すると、気道症状を呈します。どのようなところに存在するのか?
マイコプラズマは、自然界のあらゆるところに存在します。よって通常の生活でマイコプラズマに感染する可能性が十分にあるということです。マイコプラズマに罹りやすい年齢はあるのか?
多くのマイコプラズマ感染症は、若年者が多いとされています。患者の80%が15歳以下の子どもです。60歳以上の感染は5%前後とされています。基本的には、マイコプラズマは若い人の感染と考えても良いのですが、30~50歳の人も感染の可能性が十分にありますので、注意が必要です。マイコプラズマに罹ると、どうなるのか?
マイコプラズマの潜伏期間は2~3週間とされています。気道の粘膜からマイコプラズマが体内に侵入してくると、頭痛、倦怠感、発熱、咽頭痛、咳などの症状が起こります。多くの場合は一般の風邪のような症状と同じて、通常の風邪とマイコプラズマとの区別は難しいのですが、マイコプラズマ感染は鼻水は目立たないことが多いです。多くの場合は、風邪のような症状が5~7日間で症状が改善するのですが、感染が治まらないと肺炎を起こしてしまいます。
マイコプラズマ肺炎の特徴は、
- 頑固な咳が続く:とにかく咳が止まりません
- 熱が下がらない:38度以上の熱が、風邪薬を飲んでいても続く
- 比較的痰が少ない、乾いた咳がでる
マイコプラズマに罹っても、基本的には3週間程度で自然治癒しますが、一部劇症化する場合もあります。
診断
一般的に血液検査でマイコプラズマに罹っているかを診断します。確定診断には採血が2回(初回採血後、2~4週後)必要となります。血液を使って外来で15分くらいでマイコプラズマに罹っているかどうかを診断する簡易キットがありますが、感度の問題で、確定診断にはあまり有用とは言えません。また、最近では痰を用いてマイコプラズマの遺伝子を検出する方法も開発されていますが、現時点では血液検査が最も診断に有用とされています。
治療
マイコプラズマ感染症の治療は、『マクロライド系』 『テトラサイクリン系』 『ニューキノロン系』の抗菌薬を使用します。通常、抗菌薬と言われる『ペニシリン系』 『セフェム系』では、マイコプラズマ感染症は良くなりません。マイコプラズマ感染症が疑われる場合は、一般的には『マクロライド系』抗菌薬が使用されます。治療期間は7日~10日間服用します。
マイコプラズマ肺炎の特徴は、頑固な咳が続きます。抗菌薬を使用してもなかなか咳が止まりません。ひどい方は治療開始しても2~4週間、咳に悩まされることがあります。このような場合は、強い咳止めや漢方薬を用います。
- コラム
予防する方法はありますか?
マイコプラズマは、飛沫感染で感染します。よって、誰でも感染する可能性があります。感染力が強いため、マイコプラズマに罹っている人の近くにいると、自分もかかる可能性が高くなります。マイコプラズマは気道上皮につくことで感染をおこしますので、手洗いやうがいが重要となってきます。人ごみの中に行く際には、マスクを着用されると良いでしょう。また、ワクチンによるマイコプラズマの予防はできません。
いちどマイコプラズマに罹ったのですが、二度とかかりませんか?
マイコプラズマ感染症は、5歳までに60~70%の人が感染し、成人では95%前後に感染の既往があるとされています。しかし、終生免疫ではないため、一度かかっても再度かかる可能性があります。最近、マイコプラズマの耐性菌が問題となっているようですが・・・
子どもで検出されるマイコプラズマの4割程度(報告によっては6割)が問題となっています。これは小児のみで、大人での耐性菌の報告はほとんどありません。なぜ耐性菌が増えているかは、まだ分かっていません。耐性菌に罹っても症状が劇症化するという訳ではなく、症状が通常の菌よりも2~4日間長く続くだとされています。