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肺の機能 肺の基本的機能は、肺毛細血管に酸素を添加し、同時に二酸化炭素を除去することにあります。この肺のガス交換は、次の3つの過程で行われます。
 (1) 換気:肺胞への空気の出入。
 (2) 拡散:肺胞と肺毛細血管の間のガス交換。
 (3) 血流:肺毛細血管の流れ。
このうち、換気の状態を見る検査をスパイロメトリーと呼びます。
肺機能検査 人間ドックで行われる肺機能検査は、このスパイロメトリーです。表を見るといろいろの値が表示されていますが、要約すると「%肺活量」と「1秒率」の2つがポイントになります。即ち、得られた実測肺活量や1秒量が、同年齢の正常人の予測値の何%かを調べます。
%肺活量 いかに多く息を吸えるかを調べるもので、肺の実質の疾患、呼吸を調節する肋骨、肋間筋、横隔膜などの疾患によって息を吸える量が減少します。%肺活量が80%以下に低下すると、拘束性換気障害と診断され病的とみなされます。
1秒率 いかに早く息を吐き出せるかを調べるもので、70%以下は閉塞性換気障害と呼ばれ異常とみなされます。これは気管支喘息や肺気腫などにより気道の狭窄が存在すると低下します。
その他 「%肺活量」「1秒率」ともに減少した場合は、混合性換気障害と呼ばれ、重傷の呼吸機能障害があると判断されます。肺機能成績を左右する最も重要な要因は、被験者が如何に最大限に努力して検査をしたかであって、中途半端な努力での検査からは適切な診断が困難となります。また、肺機能検査(スパイロメトリー)は、肺全体についての検査のため、孤立性の疾患(肺結核、肺がんなど)や片側性の肺疾患の診断に関しては十分といえません。したがって、本検査の判定にあたって、被験者の既往症、現病歴、胸部X線所見、内科的聴打診、検査に際しての努力の程度を総合して判断する必要があります。いずれにしろ、データに疑問を感じた場合は、遠慮なく質問くださるようお願いします。